こんにちは!コッタのディレクターKです!
突然ですが、みなさんは自家製酵母を使ったパン作りをしてみたいと思ったことはありませんか?自家製酵母でパンを作ったら間違いなくおいしいけど、
作るのはかなりハードルが高そう…。
そんな風に始める前からあきらめていた方にうれしいニュースです!
自家製酵母のパンやおやつのブログ「ぼっちゅんcafe」管理人として、 自宅パン職人から絶大な支持を得る あの“あんこさん”が、来年『レーズン酵母』の起こし方を動画で教えてくださることになりました!(わーい♪)
この動画では、みなさんからの酵母に関するお悩みや質問に答えちゃうコーナーも企画中。記事の最後に質問受付フォームを開設していますので、質問お待ちしています!さっそく打ち合わせがてら、あんこさんとお茶してきました。
▼あんこさんプロフィール
自家製酵母のパンやおやつのブログ「ぼっちゅんcafe」管理人。ご飯を炊くように自家製酵母のパンを焼いて、美味しく食べることを大切にしている。著書「自家製酵母で作る 毎日食べたいパンとおやつ」「ズボラでOK!手作り酵母のパンとお菓子」。
<Instagram>bochun_cafe
<公式ブログ>ぼっちゅんカフェ
──こんにちは。大ファンのあんこさんに酵母のことを直々に教えてもらえるなんて、とってもうれしいです。今日はよろしくお願いします。
あんこさん(以下・あんこ):こんにちは。私でお役に立てるでしょうか?自家製酵母のパン作りを始めてまだ10年ほどなんですよ。
──10年でそれだけ極められていたら十分です(笑)!あんこさんが酵母作りに目覚めたきっかけはなんですか?
あんこ:高橋雅子先生の自然酵母パンの本(※1)ですね。自家製酵母って地味なイメージがあったけど、こんなにかっこいいんだって。
※1:「『自家製酵母』のパン教室―こんなに簡単だったんだ!マイペースで楽しく続けられる」パルコ出版
──家庭での自家製酵母パン作りに革命を起こした本ですよね。
あんこ:その本が出版されたのが、娘が小4~5年のとき。娘が小さいときからイーストを使ったパンやお菓子を焼いていたのですが、娘のことが好きすぎて、それまでは彼女以上に夢中になれるものがなかった。でも、娘が中学になって、彼女の世界が家族以外にも広がっていく中で、あの高橋先生の本のパンを作ってみようと思い立ちました。
──何から始めたんですか?
あんこ:動画でもお伝えする「レーズン酵母」を起こしました。そうしたら本の通りになって、すごく上手にできちゃって。それを使って、ちっちゃいハード系の丸パンを6個くらい焼きました。オーブンから出したら、中からわぁっと盛り上がるように焼けていて、「なんてかわいいの~!」って(笑)。焼けた瞬間に、うれしくて仕事中の主人に電話しちゃいました。
──それはうれしいですね!旦那さんと仲良しで素敵なご夫婦!
あんこ:最初にうまくいったから、すっかり自家製酵母のパン作りに夢中になりました。私は独学なのですが、誰かに言われたことを真に受けるんじゃなくて、自分で確かめたいタイプ。だから、自家製酵母のレシピ本を買うだけでは足りなくて、図書館で関連本を片っ端から借りるようになりました。それでわかったのは発酵のしくみや酵母のパンを焼く上で大切なことです。レシピ(配合)自体はどの先生の本も大差ないということも。でも、工程や見極めが違っていて、それが出来にも影響してくるんですよね。
──なるほどー。そういう違いはみんなが知りたいですね。
あんこ:そのうち、私も独自のやり方を見つけるようになりました。たとえば、小麦粉、ライ麦粉、水を合わせて作った発酵種で、乳酸菌と酵母を育てて作るルヴァン種。従来の方法だと、新しい粉を足して育て、またそれをほとんど捨てて……と、完成までに捨てていく量がハンパないんです。(※2)
※2:捨て種
それだけの捨て種をして起こした種を使っても家庭で焼くパンの数はたかがしれてます。それって、一般家庭ではもったいないでしょ?だから、捨て種なしでも風味や仕上がりが変わらない仕組みが作れないか、図書館で酵母や発酵の歴史まで細かく全部調べて、徹底的に研究しました。
その方法は、「あんこ的ライ麦ルヴァン種」として本(※3)でご紹介しています。
※3:「ズボラでOK!手作り酵母のパンとお菓子」(アールズ出版)「自家製酵母で作るパンとおやつ」(河出書房新社)
──もはや酵母博士ですね(笑)。自家製酵母を使ったパン作りって難しいイメージがありますが、酵母を極めつつある今のあんこさんから見ると、どんな印象ですか?
あんこ:私は単純に、自家製酵母のパンの味が好きですね。それと、お店の自家製酵母のパンって高価ですよね。だけど家で焼いたら経済的(笑)。いくら食べても胸やけがしないところも気に入っていて、なんとなく腸の調子もよくなるような…。
──発酵食品だから、腸内環境もよくなるんですね。
あんこ:酵母や発酵って、家庭の中や自分の手の常在菌がすごく関係しています。よく「酵母が育たない」っていう方がいらっしゃるんですけど、初めてすぐだったらあたり前。だって、まだ部屋の中で酵母が育っていないわけですから。我が家ではジャムもケチャップも食卓に置いておくと、すぐにポンってはねちゃう(笑)。発酵を生活に取り入れると、パン酵母以外にも、いろいろな食品を発酵でまかなえちゃうのが面白いの。
──おそるべき常在菌の威力…。ブログやSNSでは、読者の方たちからどんなことを聞かれますか?
あんこ:複雑な質問はそれほどないですね。簡単なことが多いんです。でも、簡単なことなんですが、そうやって人から聞いた答えはすぐ忘れちゃうんです。だから、自分で実践しながら覚えていくのがいいと思います。たとえば、レーズン酵母って油脂なしのもので起こすのが大前提で、そのことはご存知でも、その理由を知らない方が多い。オイルコーティングされたレーズンだと発酵しないわけじゃない。でも、油脂でコーティングされている時点で、すでに酸化が始まっている場合もある。これ以外にも理由はありますがそうなると自家製酵母を起こす意味がなくなるんです。
──そうなんですね!私も知りませんでした。
あんこ:酵母は、あくまでおいしいパンを焼くための道具と手段。我が家ではぬか床と同じような存在で、たくさんある酵母が冷蔵庫には全部入りきらないので、普段使う5~6種は常温に置きっぱなしにしています。酵母ジュースだけは、確実に冷蔵庫に入れています
──冷蔵庫に入れなくても大丈夫なんですか?
あんこ:そういう環境を作ってあげれば大丈夫!例えば、ぬか床はうちでは甕(かめ)を使って、暗くて光が入らない場所に1年中置いていますが、夏でもカビは生えないし、かえって風味が増すくらい。あと、酵母やぬか床の管理温度もよく聞かれるんですが、温度だけに頼るのは危険です。今、ネットにも情報があふれているので日本にいながら外国のやり方も知ることができますが、湿度、環境、使う小麦粉の質、製法の意味合いの理解も違いますよね。慣れないうちは、目安として基本の温度を知るのは大事と思うんですが、自分で起こしているうちに、「酵母はこういう状態になったから新しいものを足してあげよう」とか「これは足さなくてもちょっと混ぜて気泡を抜いてあげればいいんだ」というのが、味見をしたり香りや目で見てわかるようになります。私は無人島に行っても、小麦と火さえあれば、そのへんにある実や葉っぱで酵母を起こして、パンを焼ける自信があります。
──かっこいい〜!あんこさんの話、面白すぎます!
あんこ:ドイツでパンの修業をされたシェフの本に、「日本では発酵の話題になると、必ず温度の話が出てきますが、ドイツではあまり温度計は使わない。自分で種を見て、匂いを嗅いで、味見をしたその感覚で、そうするかを決める。だから応用もできる」という主旨が書いてあって、自分の中でモヤモヤしていたものが一気に晴れた気がしました。
──今回出演していただく動画では、本だと伝わりにくいところをご紹介して、見ている方の成功率を上げたいんです。酵母は冷蔵庫にしまうのだけが正解というわけじゃない、ということも伝えたいですね。酵母に興味がある人って、レシピ以外のそういう話も知りたいんじゃないかと思います。
あんこ:酵母の置き場所ですが、週に何度もパンを焼かない人は、冷蔵庫に入れた方が長くいい状態に保てます。でもその代わり、香りは常温に置いたものの方がいいですね。
──勉強になります。酵母がある生活ってどんな感じなんだろう…?
あんこ:自家製酵母パンを作っていると、「丁寧な生活を送られてるんですね」ってよく言われるんですが、丁寧な生活は送っていません(笑)。ここで誤解のないように、パン作りは、丁寧=ゆっくりではないんです。生地は乾燥が大敵だからダラダラと時間をかけたり、触りすぎることもダメ。
──酵母を起こしたら、元種を作って、こねて、丸めて、発酵させて、焼成して……と、まだまだ大事なポイントがたくさんありますね。残念ですが今日はお時間が来てしまったのでここまでにします。きっと私以外にもあんこさんにお話を聞きたいcottaユーザーがたくさんいると思うのですが、「レーズン酵母」の動画にご出演いただく際に、みなさんからの質問に答えていただけませんか?
あんこ:うまく答えられるかしら…。でもせっかくの機会なので、みなさんからのご質問お待ちしていますね!
質問受付締切:2019/1/7(月)まで